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Annex C(ISDN対策)
eAccess・フレッツ・ACCA 全サービス
日本のISDNは、上りと下りで交互に強い信号を出して通信しています(俗に言う「ピンポン方式」)。
また、電話線は
局から自宅までの間は細い線(標準で直径0.4mm)が大量に束ねられている ため、束ねてまとめられた
線の中に強い信号を発生するものがあると、周囲の線にノイズを与えます注1 。
ADSLも電話線を使っている以上、そのノイズの影響を受けます。これに対して、何も対策がないとISDNノイズ
まで含めてノイズとして認識してSNRを取ることになります(SNRについては、
ADSL基礎の基礎 をご参照ください)。
ISDNの影響を受けにくい状態(束ねられた電話線の近くにISDNの線がない、電話局から近い、など)であれば
それでも問題ないのですが、回線長が長くなってISDNの影響を受けやすくなってくると、大幅に速度が低下
してしまうことになります。
少しでもこの影響を軽減するために考えられたのが、Annex Cで利用されているDBM/FBM技術です。
ISDNノイズが時間によって強弱があることを利用して、その強弱と同期してビットマップを切替え、ISDNノイズが
弱い時間帯だけでもがんばって多くのデータを送ることで速度低下を最小限にとどめようというものです。
図示すると下記のとおりです。
Annex A:Yahoo! BB 8M 時間帯によるビットマップ切替を行わない方式で、
Yahoo! BB 8M が採用しています(12Mはちょっと図が違ってきます。詳しくは
各社オーバーラップ技術のもっと詳しい説明 をご覧ください)。この図で、
左右方向:時間
奥行(前後)方向:周波数
上下方向:周波数ごとの転送データ量(ビット)
となっています。左右方向の時間の変化で、周波数ごとの転送データ量(=速度)を変化させませんので、
ISDNノイズの影響が強くなると速度が低下していくことになります。
利点:構造が単純なので、ISDNノイズの影響がほとんどない超近距離では高速を出せる。
欠点:ISDNの影響がちょっとでも強くなると、下のAnnex Cより速度低下が大きい。また、長距離になって
ISDNノイズの影響が大きくなったときに、Annex Cより(理論的には)接続できなくなるのが早い。
Annex C (DBM):各社1.5M、YBB以外の8M、eAccess 12M、フレッツ・モア
ISDNノイズの変化と同期してビットマップを切り替える方式です。
左右方向:時間
奥行(前後)方向:周波数
上下方向:周波数ごとの転送データ量(ビット)
左から右に時間が流れていく時、まず下りのISDNノイズが弱い時間帯にADSLは下り信号をたくさん転送します。
この時間帯を下りFEXTタイミングといい、全体の37%を占めます。図では赤いカマボコ型で表されています。
それ以外の、ピンク色のカマボコ型で表された時間帯は、ISDN下りノイズが強い=ADSL下り信号転送が少なく
なっていて、下りNEXTタイミングといいます。注2
上りの方も同様に、ISDNの強弱に合わせてFEXT(緑)とNEXT(黄緑)を切替えています。
この時、ISDNが上りと下りで交互に強くなったり弱くなったりするため、ADSLも上りと下りでFEXTとNEXTの切替え
タイミングがずれる形になります。
2つのビットマップ(転送量)を切り替えるため、DBM (Double Bitmap)方式と呼びます。
利点:ISDNノイズの影響を軽減し、速度を稼ぐことができる。
欠点:ビットマップ切替などの複雑な作業を行っているので、超近距離などのISDNノイズの影響が少ない環境
ではAnnex Aより速度が落ちる可能性がある。
Annex C (FBM):各社1.5M、YBB以外の8M、eAccess 12M、フレッツ・モア
上のAnnex C (DBM)から、NEXTタイミングのピンク色と黄緑色のカマボコを取り除くとこの図になります。
もっと電話局から離れて回線長が長くなった場合、ISDNノイズの影響が非常に大きくなって下手にNEXTタイミング
でデータを送ろうとするとエラーの元になってしまうようになります。この時に、NEXTタイミングではもう一切
データを送るのをやめて、ISDNノイズの弱いFEXTタイミングでのデータ転送に専念するようにすると、エラーが
減って安定したり、かえって転送速度が向上する場合があります。これをFBM (Fext Bitmap)方式と呼んでいます。
利点:ISDNノイズの影響を最小限にとどめることができるので、長距離でISDNノイズが強い場合には安定
したり速度が向上する可能性がある。
欠点:原理的にデータの転送時間を制限するため、最高速度が制限される。(下り3424kbps、上り416kbps)
「Annex B」というのはヨーロッパ向けの規格になります注3
なお、このページで「ISDN対策」と呼んでいるのは、上記のAnnex CのDBM/FBM方式と、それを発展させたACCA 12MのDBMOL、XOL、
FBMsOL(詳しくはACCA 12Mのオーバーラップ技術 をご覧ください)を
含めて、ISDNノイズの強弱と同期してビットマップを切替えることによって転送速度を確保する方式の総称です。
注1 :もちろん線同士は接触しないように絶縁されていますが、電線の中を電流が流れると外部に
磁界の変化を発生し、その磁界の変化が他の線に起電力を発生するという形でノイズを与えます。
特に、同一カッドにISDNが入っていると非常に大きなノイズが乗ります。
注2 :ISDNの上り・下りの切替は、全体(2.5ms(ミリ秒))の50%(1.25ms)ずつです。なのに、どうしてAnnex C ADSLの方は
FEXT:NEXT=37:63という分割になるのでしょうか。(なお、あらかじめお断りしておきますが、この項目は異常な
ほどマニアックなので興味がない方は読み飛ばしてください。)
Annex Cでは、データを転送するときにDMTシンボルというデータ形式にして送出し、そのDMTシンボル1個ごとに
FEXTかNEXTかを決定しています。
DMTシンボル1つの転送にかかる時間は264μs(0.264ms)です。
すると、ISDNの上り下りの切替が2.5ms÷2=1.25msごとなのに、DMTシンボルのFEXT/NEXTの切り替えは0.264ms
単位でしかできないことになりますので、1サイクル(2.5ms)の中の9.46個(=2.5÷0.264)のDMTシンボルのうち、
3個しかFEXTにできない場合と4個FEXTにできる場合とがあることになります。
FEXTが3個になるか4個になるかの確率を計算して加重平均をとると、最終的にFEXTが全体に占める割合は37%になります。
注3 :ヨーロッパのISDNは、ADSLの上り帯域とほぼ同じ帯域を使って上下の通信を行い、エコーキャンセラ
で受信側で分離する方式を採用しています。そのため、Annex Bは、上り/下りとも高い周波数の方へ移動させた形を取っています。
周波数が高くなっているので当然距離には弱くなりますが、スプリッタでISDN信号とADSL信号を分離することが可能なので、
ISDNとADSLを同じ電話線で共存させることが可能になります。
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